トモオフィス/廃品打楽器協会

東京新聞に掲載されました

東京新聞
新聞・雑誌掲載
時計2002年1月6日(日)

▼本文より

東京解剖図鑑 情熱Passion

「ドンガラダッタ、ガンガン、ガシャガシャ」とけたたましい音とともに現れたのは、近代絵画の奇才・ダリのような風ぼうの打楽
器奏者、山口ともさん=写真。

腰にはプラスチックバケツ、ブリキ缶、車のホイールキャップがセットされ、両足には灯油缶を履いている。これは山口さんのパフォーマンス『ゴミじゃない鳴らせば楽器』の中の”1斗缶マーチング男”という演目スタイルだ。

祖父は『かわいい魚屋さん』などの童謡を作った作曲家、父は新日本フィルのティンパン奏者という環境に育った山口さんは、1980年にドラマーとしてデビュー。その後、中山美穂さんや今井美樹さんらのバックを務めてきた。

そんな山口さんが5年前から始めたのが、廃品を使った楽器作りだ。「ミュージカルの音楽を担当したとき、既成の楽器では満足できず、それなら手作りしよう」と生み出した楽器が20種以上。

太いバネの両端に大きな缶をつけた『スペース・スプリング』は「ピューン」という宇宙的な音を出し、エアコンのダクトを利用した『ダクトちゃん』は蛇腹を動かすことによって不思議な音色を奏でる。音もユニークだが、演奏するしぐさや表情もユーモアたっぷりで、学校に呼ばれて演奏すると子どもたちは大喜びだそうだ。

さらにこのリサイクル楽器、人気アーティストのライブでも使われる。「だから、でたらめにたたいているわけじゃない、それだと、ただの変わり者でしょ」と笑う。

「生活の中にはいい音がある。それをこの廃品楽器で伝えられれば」という山口さんは、まるで音楽界のダリのようだ。問い合わせはファクスで03(3717)7913、TOMOオフィスまで。

(文と写真、石橋春海)