トモオフィス/廃品打楽器協会

朝日中学生ウィークリーに掲載されました

朝日中学生ウィークリー
新聞・雑誌掲載
時計2004年10月3日(日)

朝日中学生ウィークリー 2004年10月3日発行
ちょっと気になる○○ reportで山口ともの楽器が紹介されています。

朝日中学生ウィークリー

▼本文より

ゴミでつくった楽器で初耳サウンド!

灯油缶に靴をくくりつけ、モップの柄を床にたたきつけながらタップを踏む、一風変わったパーカッション奏者がいます。山口ともさんです。

ともさんがステージで使う楽器は、九〇%がゴミです。しかし、ゴミとはほど遠い華麗なセッションを繰り広げ、世界的なパーカッショングループ「パルス」の目にとまって、本場ニューヨークで演奏したこともあります。

現在、NHK教育の音楽番組「ドレミノテレビ」(水曜、午前九時)に「ともとも」の愛称で、歌手のUAと共演しています。らしくないキャラと、見事な腕前とのギャップに、小中学生から「あの人、何者?」の問い合わせやファンレターがきています。

本業は、平井堅、石井竜也、中島美嘉らのツアーやCD制作に参加する、プロのパーカッショニスト。九年前に手がけた宮澤賢治の音楽劇「銀河鉄道の夜」が、ともさんとゴミを結びつける運命的な出合いとなりました。「幻想的な賢治の世界に、既成楽器の現実音は似合わなくってね。なんだ?この音は?と思わせる初耳サウンドが作りたくなったの」

ともさんのアトリエを訪ねると、換気扇ダクト、フライパン、ペットボトル、タイヤのホイール、バケツ、水道管などが部屋中に散在。天井には、トマトの水煮缶とフックでつなげたスプリングが、配線のように走っています。金属棒でスプリングをこすると、振動が缶で拡散されて、「ウォンウォンギュ~ン」とエコーの効いた、宇宙的な音がすることから、「スペーススプリング」と呼んでいます。
 「捨てればゴミ、拾って生き返らせれば楽器」をモットーに、燃えないゴミから再生した廃材楽器は、約百種類。「車に乗っていても、おいしそうなゴミは拾いますよ。東京都内の環状七号線沿いは、メッカ。鉄工所のおじさんも、ぼく好みのゴミを取り置いてくれる。家の解体現場は、出物が多いよ」。手作り楽器の講習会にも、最低限の楽器だけ持参し、後は現地調達でのぞみます。

それにしても、なぜゴミ?「素材も可能性も無限大だから。おまけにタダ!」。小学生の頃から、人とおそろいが嫌いで、自転車も部屋も、自分で手作りしたといいます。

音楽は「音を楽しむこと」と言い切ります。「音楽が苦手な人だって、歩けばもうリズム刻んでるし。自分が楽しむために、人目を気にして恥ずかしがっちゃ、もったいないよ。こういう変な「オトナ子ども」もいるってことで、中学生に自分を貫く勇気、持ってもらえたらな」