トモオフィス/廃品打楽器協会

Latta(ラッタ)2006年5月号に山口とものインタビュー記事が掲載されました

Latta
新聞・雑誌掲載
時計2006年5月6日(土)

フレッシュ保育者サポートマガジン「Latta(ラッタ)」 2006年5月号に
山口とものインタビュー記事が掲載されました。

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▼本文より

ゴミも捨てたもんじゃない!

楽器ができなくても、楽譜が読めなくても、音楽ができちゃう「廃品楽器」は、園でみんなが楽しむのには最高のパフォーマンスです。ゴミも捨てたもんじゃないですよ(笑)。

私は、よく園に呼んでもらって子どもたちと演奏しますが、人気があるのは、ペットボトルのシェーカー「ペッカー」や、トロ箱(発泡スチロールの箱)に木材なんかを並べた「なんでもっ琴(きん)」です。子どもたちにも簡単に作れて、気持ちよく演奏ができます。簡単といえば、新聞紙を破いたり、丸めたりするだけでも音楽になります。コンサートホールで3階席まで埋まった子どもたちと新聞紙コンサートをやったときには迫力がありました。新聞紙を破く音やこする音、丸める音がホール中に響きました。最後に全員で丸めた新聞紙を放り投げるんですが、壮観でしたよ。

オリジナリティを求めて 自分だけの音を探す

私が廃材楽器を作るようになったのは10年くらい前からです。
高校を出てから「なんとなく格好いいな」とドラムをたたくようになり、打楽器のプロとして中山美穂さんや今井美樹さんなどのツアーやレコーディングに参加していました。ところが1995年ぐらいになると、アイドルがいなくなりました。さらにコンピューターが導入されてパーカッションやコーラスは真っ先に人員削減され始めました。このままだと仕事がなくなっちゃう、食えなくなると心配になったのです。「この人しかこの音は出せない」というものを見つけないと生きのびていけない現実がありました。それで自分の音探しを始めたのです。30歳代前半でした。

その模索の中で作り出したのが、工事現場に捨ててあった水道管を材料にしたベーンパイプ(写真左上)でした。私の廃材楽器第1号です。そして音楽劇「銀河鉄道の夜」(白井晃演出)に打楽器担当として参加し、「宇宙の音」を作ったのが、廃材楽器奏者として世の中に認められるきっかけになりました。(写真右上「スペースリング」)

そうこうしているうちに、環境問題への関心の高まりからあちこちに呼ばれて廃材楽器の演奏をするようになり、2001年には、パフォーマンスユニットの「Ticobo(ティコボ)」を結成。翌2002年からはNHK教育テレビの『ドレミのテレビ』に、歌手のUA(ウーア)さんとレギュラー出演しました。何でも楽器にしてしまう謎のパーカッショニスト”ともとも”役です。何回も再放送されているので、この番組で私のことを知ってくれた人も多いでしょう。

私のスタイルともいうべき、このカールしたもみ上げとチョビひげはテレビに”ともとも”として出演する前からのものです。このメイクを始めたのは30歳代前半の頃でした。ステージで演奏していても、有名アーティストのバックにいるミュージシャンに、お客さんの目は向けられません。1000人、2000人というお客さんから「オモシロイ人がいたねー」と言われるような存在感がほしくて、ヘアメイクさんに相談したのです。メガネは髪とひげに合わせてオーダーしました。それから10年以上、朝起きるとまずこの顔を作って生活しています。休日にご近所を出歩くときももちろん顔はコレです。

このメイクは大正、昭和時代のオジさんのイメージです。母親から当時のダンスホールの話を聞いたりしてあこがれを感じているのです。みんながステキに生きていた時代だったんじゃないかなぁと。

音楽を自分に合わせる楽しさ

子どものころは、特に音楽教育は受けなかったし、小学校の音楽の授業も好きではありませんでした(編集部注:山口さんの祖父・故山口保治氏は「かわいい魚屋さん」などの作曲家。父・山口浩一氏は新日本フィルの首席ティンパニー奏者)。むしろ物作りが好きなプラモデル少年でした。夏休みの工作や、技術の授業での制作物もなんとか人と違うものを作ろうとがんばりましたね。そういうところが廃材楽器作りに向いていたのでしょう。それから、サビを磨いて落とすのも好きでした。これもピッタリですね。(笑)
廃材利用というと、きたなく安っぽくてうるさいものと思われがちですが、私はオブジェとしての美しさ、楽器としての音のよさを大切にしています。

音楽をするというと、楽譜を読んだり楽器を練習したりして自分を音楽に合わせることが普通ですが、廃材楽器は「音楽を自分に合わせちゃう」琴ができます。自分が「いい音だ」、「気持ちいい」と思う音を、心地よく演奏すればそれでいいのです。子どもたちにぜひ、この楽しさに気づいてほしいですね。

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