トモオフィス/廃品打楽器協会

shag 2001年4月号に掲載されました

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新聞・雑誌掲載
時計2001年4月6日(金)

shag 2001年4月号に掲載されました。

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▼本文より

■山口とも篇■
 咽の奥の声
  vol.20

疑惑の打楽器奏者「山口とも」に訊く

そこはTomo Office・・・全部自分で作ったんですよと山口氏。拾ってきたカラーボックスに色を 塗り、組み合わす。床から天井まで主たるところは白くペンキが塗られている。波型にカットされ た赤井机がならんでいて、自身のポートレートが立てかけている。ふしぎな統一感がある、昻揚 するようで落ちつく、居心地のいい空間。おはなしを伺うべく編集部が乗りこむ!

原風景、イメージ

編集部(以下:編)
機材のセッティングにどのぐらいの時間、かかったりするんですか。

山口とも(以下:とも)
やっぱりね、イベントとかで1時間半から2時間くらいかかってるかな。 --けっきょく、あれじゃないですか、こんなことやってる人いないから、自分たちの拾っ てきたものだし、ましてや、叩きやすいように加工してスタンドがつくようにしたりとか、そう いうことをしてるから。まったくここにあるのがはじめて。世の中に一個しかないんで。

編 
こういう楽器って、好きなひとなら思い浮かべると思うんですよ、頭の中に。でも、それを形 にすることができないじゃないですか?

とも 
むかしから作るのがすごい好きでね。高校の時に、うちのオヤジにこういう骨組みだ け作ってやるから、自分で部屋作れって言われて。鉄骨とセメントだけで、外のベランダみたいな ところに建ててくれたんですよ。1階と2階、3階は弟が住む。全部一から作りましたよ。

編 
はあ。

とも 
オヤジに自立しろっていわれても、こどもってなかなか自律しないじゃない? つくらせることで、オヤジが息子を見ていたっていうか、そんな気がしますよ。そこでぼくは喫茶店とか、 いろんなところを行って、インテリアとか、こういうスタイルの部屋にしたいなとか、あっちこっち行って勉 強しましたよ。

編 
ごみはいつから、拾うようになったんでしょう。

とも 
ウチのオヤジがけっこう拾ってきてるんですよ(笑)。

編 
素養はあったわけですね?

とも 
もう、そうなの、産まれたときに自分の家にあったテレビ、洗濯機、扇風機とか、いわいる電化製品。 新品のものは一回もお目にかかったことないですね。すべて、もらってきたり、拾ってきたりしたものばっかりで。

編 
じゃぁ修理もご自分でなさったわけですね?

とも 
出来る範囲はぜんぶ自分で直しました。そこにあるクルマ(注1)も自分で直していますよ。

(注1)山口氏の愛車はブルーのルノー。うしろに楽器を積んでリハーサルからツアーまでこなす、素敵な脚である。 ペットと飼い主が次第に似通ってくるように、山口氏とルノーの関係も満便ではないのではといぶかしむ。しっくりいっている。

編 
まさかあのクルマも拾ってきたわけでは?(笑)

とも 
あれは別に拾ったわけじゃないけど、でも中古で。あのクルマもなんかしらないけど、日本に一台しか ないんだって。ルノー。--もう、趣味を越えてるよね、こんな、三十八度もある世の中でクーラー無しで乗っている。死にそうだよ。毎日、平井堅くんのリハーサルが入っていて、いってるんですけど、けっきょく汗びしょになって いってますよ。

編 
でも、スタイルって大事ですよね。

とも 
大事だね。こういうふうにセッティングするにも、ただやればいいっていうか--やっぱりアートじゃない。 そういう部分でやっていかないと。ああ、これなに?っていう第一印象、やっぱり、大切ですよ。--イメージって 凄く大切だよね。やっている本人しか、わからないからね。そいういのって。

編 
どんなに記事を書いても、ことばでつたえきれない部分てあるんですよ。でも、音だと聞けば判る瞬間が ある--。

とも 
だから音楽ってすごいなって思うよ。タイ行ったときもそうだったな。演奏しているだけで、人が寄ってきて、 ハグハグとかって。なんかそれだけだもんね。ぜんぜん通じちゃう。

くる/こない

編 
叩こうと思う瞬間って、なにかぴんとくるものが?

とも 
やっぱりさ、興味は示すんだけど、ちょっと邪魔だなとかさ、パンととやったときに不意にカッとなんかにあ たってカチンと音がしたりとか。(アッシュベルー・写1)

編 
これは進軍ラッパですか?

とも 
これはね、むかしの、フィリピンかなんかのタクシーの、トゥクトゥクとかトコトコ(写2)とかいう、クラクション。 ぼくのクルマってもう一台あるんだけど、動かなくって修理してるんだけど、それにもこれ、ついてるよ。

編 
クラクションとして使ってるんですか。

とも 
そうそう。

編 
現地に行かれて・・・・。

とも 
いやいやいや。これは日本で売ってたんですよ。だからね、あんまりそこまでして、集め・・・というか、むかしのもんだからさ、いま行ってもたぶんないと思うよ。日本ってなんでもあるじゃん。

編 
そういえば、叩いてるうちに痛んできたものは?(写3)

とも 
それは、直して使ったりとか、こういう金属って延びていくでしょ。だんだん音が変わってくるんですよ、それがまたよかったりとかしてて。こういう(逆さにしたポリバケツを指しながら)化学ものは割れるしかないよね。割れて破損して終わり、金属は伸びて延びて延びて別の音になっていく。

編 
というのも、ごみを拾ってきて楽器にして、楽器として使えなくなったらどこに行くのか、と。

とも
最終的にココまで使ったからごみかな、そういう考え方もあるよね(笑)。

編 
以前友人と浅草の「太鼓館」にいって叩きまくってきたころがあるんですけど、太鼓というだけでいろんな形、いろんな音色があることに驚きました。

とも 
まだまだ作れるぞって感じじゃない?だって、あのひとたちだって、なんかを元にして作ったわけじゃなく、 たぶん、オレらみたいなこういう発想だったと思うし。アフリカの楽器とかみんなそうじゃないですか。アフリカの ってみんな使えなくなった王冠とか、そんなのばっかりじゃない。

編 
カリンバとかすごく好きなんですよね。

とも 
素朴な音だよね。--みんなそうだけどさ、生の音ってあんまり聞いたこと無いんだよね。だから、電気的にスピーカーのコーン紙を揺らした、楽器の音しか聴いたことがない。大っきいコンサートもそう。小さい小屋でやるのはマイクなしてそのまま叩いているから、そのものが振動して、空気が、その振動を耳で伝えるってのは、ぜんぜん説得力が違うんですよ。だから、和太鼓叩いるところに行くとさ、おなかにずんずんきて昻奮するじゃん。 どんどん、どんどん。あれはやっぱ、生の音のちから。あれ、CDで聴いても、ぜんぜんこないじゃん。

編 
ええ。

とも 
音楽ってのは、テレビやラジオやCDが普及する前から、もっと歴史は古いわけで、そのところは、こういう生の音しか聞いたこと無いっていうのが、音楽だったんじゃない?そういうのを、また引き返したいな、とすごく思う。 だからこういう、みんなが興味をそそるものでやりたいし、もちろんお金もかかってないから、だれにでもすぐにできるよという、音楽の身近さを、すごく伝えたいな、これで。

編 
ステージと観客の距離であったり、テレビと視聴者の距離であったり、縮めますよね。

とも 
そういうことを、一番、これをやっているなかで、伝えていきたい。--資料とかでさ、自分たちがこういうことをしてますよ、ってVTR作ってあっちこっち資料でおくってるけど、やっぱりね、ぜんぜんテレビでは伝わらないね。映像があっても伝わらない。

全部自己流

編 
練習もココでなさってるんですか?

とも 
うん。わりとココでしちゃってる。近所のひとにはこうことやってまーすて、たとえばNHKに出るときとかは、言ってたりとかしちゃって。自分で伝えるより、見てもらった方が早いから。いろんな質問されてるじゃない、そういう時って。だから割りと周りのひとたちとは仲良くしてる。

編 
音を出す以上、それは秘須ですよね。

とも 
わたし、なんか音楽教室やりたいんですよ、ここで。こどもたちとか集めて。自分ひとりのパフォーマンスでもticobo(山口ともを筆頭に、TOMO OFFICEに所属する玉木正昭、中村哲也のパフォーマンスユニット三人組)でも、全くコレをもっているから。あとは、いいよ叩いてって。まず日本であんまり音楽が普及しないのって、だめよ高いんだから触っちゃ、ってお母さんが必ずいうのね。壊したらいくらかかると思ってるの!小学校とかにもバイオリンとかさ、ふつうに触れないような楽器?ハープとか。ハープとかぶーんてやるだけで、減っ茶苦茶、気持ちいいから。ホントに気持ちいいんですよ。そういう気持ちよさってのは、ねえ、小さい時にあれが忘れられないから、ああ、やってみたいなって思う気持ちがあったら、それはそれで伸ばしていけばいいことだし。

編 
音楽の授業では音の愉しさって伝わらないですものね。

とも 
そうなんだよ。みんな同じようにできないと先生怒るしさ。笛の試験なんかすんな、みたいな。(笑)

編 
ところで、この髪型はいつごろからしていらっしゃるんですか?

とも 
もう二十年ぐらいになるんじゃないかな。

編 
眼鏡とか、どこで見つけてくるんですか?

とも 
これはだって、オーダーして作ったんですよ。こういうのにしてって。原宿に「ロイド眼鏡」っていうところがあって、そこが友達がやってるんで、その人に作ってもらって。柄の太さがこのぐらいでっていって。減茶苦茶目が悪いんでレンズ入ってるんですけどね。

編 
もしかして、スペアがいっぱいあったりするんですか?というのも、見ていて不安になる時が。パフォーマンスってけっこう激しい動きとかなさるじゃないですか。

とも 
いや。これは一個しかない。まったく一個しかない。ちょっとなんかあったらどうしようと思ってる。

編 
頭に被るものは?

とも 
あれ、サンプルバーゲンだよ。三宅一生の。十五年以上前に買ったんじゃないかな。いつ被ろうかいつ被ろうかと思っていたときに、あの、パフォーマンスする時にはああいう、わりとぴっちりしたほうが動きが見えやすいかなと思って。だから、今年のあたまもフランス行ったじゃないですか。おおたか静流も一緒に。あんときにねえ、むこうのフィリップ・ドゥクフレというひとと一緒にやって、あの格好で。その格好してたらおまえ踊らないとダメだって。いいよ別にって。踊ったんですよ。

編 
ファッションとダンスと、一遍にって、むつかしいですよね。

とも 
ダンスだって、オレどこでも習ってないし、全部自己流なんですよ。だから、イメージ?いろんなもの見にいくのがすごい好きで、ああいう、あのひとのああいう動きってのは、こういう気持ちでやってるんじゃないのかなって、気持ちがわかればそういう動きになったりとかってあるじゃない。そういうところからばっかり。ホントにオレは頭で考えないっていうか、感覚の人間なんで、パーカッションもだれにも習ったことがないんですよ。

編 
え!

とも 
だってオレ。この業界に入ったのはつのだ☆ひろの弟子になって、--ドラムを叩きたかったんですよ。で、それをずっとやってて、80年にデビュー。JAP”SGAPって言うバンドでデビューするときに、けっきょく、ドラムはふたりいらない、バンドにオレがいればいいってことでパーカッションやれ、って。ええ!どうやっていいかわかんないっすよって。だからそこから全部始まってる。全品自己流。ましてオレもびっちり譜面とか読める方じゃないから。

with teeling

とも 
基礎っていうか、太鼓のパターンとか別にひろさんには教わらなかったけど、あの、奇麗なフォームに見える叩きかたとかさ、ぼうやをやっているときに、つのだ☆ひろが全国の楽器やさんをクリニックしてたのね。で。オレはそんなのぜんぜん模範を見せるような感じじゃないのに、みんなのまえで叩いてこいっていって、こうですか、みたいな。こうしてこうしてこうするんですね。みたいな。そういうことで、知ったんですよ。基礎ウチのことは。

編 
そういう入口だったからこそ、こっちの方面に発展する時に対抗がなかったんでしょうかね。

とも 
そうだね。なんかこうしちゃいけない、とかってないじゃん。パーカッションっていうパートもそうなんですよ。けっきょく、こんなの叩くの?っていうパートじゃないから、まず自由なのってのは、あの、だれでも、アーティストさんのバックに言ったときに、with feeling とかって書いてあるんですよ。譜面に。これはあなたのフィーリングでやってくださいみたいな。レコーディングいっていうのもあるよね。あんまり指定してくるのは、よっぽどパーカッションに詳しいアレンジャーのひとが書いてるとかだとそういうのがあるけど、そうじゃないと、ちょっと感じるままにやってもらえますかって。オレはこういう感じだよって、プレイしちゃう。と、ああ、いいですいいです。そうしたことが一番出来るパートだから、こうしたことができるっていうのもあるよね。

編 
だからなんでしょうか、演奏を見ていて聴いていて、自由な感じがしますよね。どこにでも、どうにでも広がってくるような。

とも 
そう。限りないんですよ。だって、こないだの誕生日の日にも、いつもとおんなじ状態じゃないですか、おおたか静流とふたりでやってるのは。聞衆院でもやってるし神戸とか岡山とかあちこちでもやってるし、じぶんのなかでもやっぱり厭ちゃう部分てのは絶対に、ねえ、すこしはでてくる。でも、おおたか氏は期待を裏切るっていうかさあ、そういうひとだから、ぜんぜん、実際やってて、厭きることはホントうに無いけど、自分の楽器の中で、もうこれいつも使ってるしなぁ、なんか他のもの作りたいなって。

編 
厭きてやめてしまった楽器とかってありますか?

とも 
想像して作るまでは作って、やっぱりいい音しないじゃんって、それをいい音にするまでが愉しかったりするんですよ。そこの加工がまたホント面白い。やっぱダメだな、どうしようか、じゃ、こういうふうにバネつけてみようか。お!いいじゃんいいじゃん、ていう発見がまた面白い。

編 
作るところから、すべてですものね。演奏するまで。

とも 
あとはどのへんの音域の音が少ないかとか、もっと低音がほしいなとかさ、そういうところからも、じゃぁ、こんどこういうの作ろうかということになるかね。

編 
材料ってのは探しに行くんですか?

とも 
探しに行かないな。生活してる中で、あれ、ひょっとしてコレはあそこにくっつかない?とか。それですこしストックしてみたりとか、事務所のうらに倉庫あるんだけど、三つばかり、滅茶苦茶いろんなものがぎっしり詰まってて。だからあとはビールの栓を抜いて飲む、まあ居酒屋さんとかあるじゃないですか。栓があまってるでしょ、ちょうだい。で、いっぱいもらってきて使うんですよ。だって、あれだってなにかビニールついてるじゃん。ね。あれ取れないんですよ。焼くの。焚き木して--。

--と、きりのないはなしが永延と続く。右に左に折り曲がりながら。録音時間をはるかに超えるインタビューとなった。職人、町工場、町工場の脇に転がるごみ。ボール盤、未来世紀ブラジル、テルミン、ギターで作った曲、中山美穂の写真集、と終電がなくなるまで永延と。
 インタビュー中に発した、山口氏の「意味のないもの、そういうの、けっこう好きかもね。でも奇麗」、このことばが頭から離れない。

素顔のともさんについて  中村哲也(ticobo)

ともさんはいつも自然体だと思います。ステージ以外はもちろんステージ上も素のともさんであり、音楽以外にも幅広い見解を感じます。日用や廃品を利用するスタイルからも分かる通り、日々の探検から数多くの楽器が生み出されました。いつも感覚を磨くことによって日常がアーティスティックなものに高められていく。そんな感覚の中でも、音楽に限らず、様々な物事に対して「何を素敵に思うか?」というような「選ぶ」感覚はプロとして活用するともさんの背景なようなものを感じることがあります。アーティスト「山口とも」の姿勢を崩さずに日過ごす姿が日常の姿であり、ステージ内外に関わらずその姿を自然に見せてしまうのが魅力の一つだと思います。

WHATS TOKYOPANDA(東京大熊猫)?

東京大熊猫は、「音楽は国境を越える!」を合い言葉に国際交流活動を行っている市民ボランティアグループです。メンバーは仕事を持つ社会人が中心で、その職種は様々。年齢も経歴もバラバラなメンバーが、どうして「国際交流」なんてことを始めたかと言うと、それは00年3月に行われた「モロッコ音楽交流ツアー」に参加したのがきっかけでした。モロッコで行った素人参加のゲリラパフォーマンスがなんと大ウケ。プロの音楽家でなくても、こんなに楽しんでもらえることができるのね、と参加者一同猛烈に感動。そしてまたやりたい!とムラムラ。やっぱり気持ちいいことはクセになるのね。という訳で、その時の有者が集まって、00年11月に東京大熊猫を結成。そして記念すべき第一回目として、今年の年末年始に「歌姫、おおたか清流と叙情系ゴミパーッカッショニスト・山口ともと行く!蘇州と北京でのライブ&地元学生との音楽ワークショップ」を企画中。現在は、素人の怖いモノ知らずパワーをフルに発揮して、様々な方々のご指導を仰ぎながら、つまり、いろんな人をパンダ台風に巻き込みながら、イベント実現に向け、日々活動中です。10月末までツアー参加者も募集していますので、興味があるかたは一緒に中国に行きませんか?!(お問い合わせはyoyoma3@mail.goo.ne.jp)

ともさんの宇宙船   東京大熊猫

ともさんは宇宙船と一緒に旅をする。お鍋、フライパン、ゴムホース、アルミ缶。木切れ、窓ガラス。道ばたで出会ったがらくたで作った宇宙船と一緒に旅をする。子供の頃、空き地に作った秘密基地がそこにある。堆く積まれた操作パネルに囲まれてステージという宇宙船を彷徨うともさんはいつもとっても楽しそうだ。宇宙船から発射されるのは、ミサイルでもレーザー光線でもなくて、雲の音だったり、銀河の音だったり。茶ツボに追われてどっぴんしゃんの音だったり。なつかしくて、心にすっぽり入ってくる。そんな音とリズムが発射される。銀河の音ってどんな音?たぶん、こんな音。思い出のリズムって?そう、あんな感じ!使命が終わったがらくた達に、ともさんの魔法をふうっとかけると、宇宙船の部品になって、ともさんがそれを操作すると、”リズム”という新しい命をもらって再びキラキラ光りはじめる。 ともさんはいつもすごく真面目な顔で宇宙船を操作する。りんごをぐしゃぐしゃに潰す時も、ミキサーが壊れちゃった時も。お茶碗をたたいちゃうときだって。ともさんをみた歌姫が笑いをこらえられなくなっちゃう時もある。そんなことが起こっても、ともさんは相変わらず真面目な顔で次の音を考えている。 ともさんはいつも黒い衣装を着ている。黒子の衣装だったり、コウモリ男の格好だったり。操作パネルの後ろからステージの宇宙に輝く歌姫たちをずっと見て、彼女たちが一番美しい音色を奏でる運転をしている。ともさんは目立たないようにそんな格好をしているみたいだけれど、そんなに奇麗な音光を放たれては、みんながともさんをじっと見ると、ともさんはとっても恥ずかしそうにする。恥ずかしすぎて困ってしまうと、大声で叫んじゃう時もある。でもね、その叫びも、リズムの一部になってるんだから、ともさんはすごい宇宙飛行士なのだ。