BRUTUS 2003年7月1日号
TV PROGRAMS FOR KIDS?大人が楽しい教育テレビ
▼本文より
今年のNHK教育テレビがなんかおかしい。朝っぱらから野村萬斎が舞い踊り、UAが童謡「森のくまさん」をけだるく歌う。シュールな番組のオンパレード。子供向けといいつつ、大人用なのではと見まがうばかりの弾けぶりなのだ。
え えい、お前がややこしいわ、と叫びたくなるほど、子供たちの間で流行っている「ややこしやー、ややこしやー」。これ、NHK教育テレビの朝の子供向け番組「にほんごであそぼ」の野村萬斎のコーナーのセリフ。文字どおり、日本語で勝手に遊んでいるこの番組、前述の野村萬斎にしても、何がややこしいのかというと「あなたが私で、私があなた。表があれば裏があり、光があれば影もある」からなのだとか(!)。
スタッフも豪華で、いろはかるたのイラストは仲修正義だわ、衣装はひびのこずえだわで、子供にはゼータクというか、奥が深いのもいいかげんにしてくれ、なんである(ホメ青葉です、念のため)。
おネエ言葉の山口ともとUAによるシュールな音楽番組「ドレミノテレビ」や、「だんご3兄弟」ですっかりNHK教育テレビの看板になった感のある佐藤雅彦の「ピタゴラスイッチ」も同様だ。質の高いスタッフや出演者が大人にも考えさせるテーマや内容をポンと投げる。それでも子供は、分からないなりにもとりあえず吸収しちゃうからスゴい。学力の低下もなんのその、10年後には能力や文学に精通した若者がわんさかいそうである。学ばなければいけないのは、やっぱり大人だったりして。
朝も早よから「ややこしやー」。
NHKの子供番組、弾けてます。